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研究トピック
〜 容器の縁に溝をいれることによる液だれ改善 〜

・概要

従来の容器の注ぎ口は尖った形状で液切れを良くしていましたが、本研究では丸まった口でも溝をいれることで 撥水性があがり液だれがほぼ起きなくなります
溝の形状はまだ研究の余地がありますが、リンクの資料にある結果からは注ぎ口の形状によらず、 容器口の外壁面に溝をいれることでかなりの効果が期待できます。

 概要説明の資料はこちら

(1)本発明の概要
 3Dプリンタにより様々な縁の容器を作成し、各容器で発生する液だれの様子をハイスピードカメラによる観察を行った。得られた結果をもとに流体力学や表面張力からの考察を行い、液だれが発生する原因を解析し、液だれの発生しない容器縁の開発に役立つ成果が得られた。

(2)実験
 プラスチックPLA樹脂(ポリ乳酸、Poly-Lactic Acid)を使用し、厚さ4mm容器の縁の形状として角縁、丸縁、45度傾斜縁の3パターンを作成し、それぞれに対して図2に示す5パターンで溝の位置を変えて刻み、計15通りの容器を作成した。水を流す容器の傾きも水平(0度)、10度、30度と変えてそれぞれ10回ずつ試行した。

(3)実験結果(表)
 内面の凸凹の効果はないが、側面および縁の凸凹は液だれ防止効果があることがわかった。図3は液だれの様子をハイスピードカメラで撮影した一例であるが、側面に溝有りの水の流れは垂直に落下し、吐出後は液だれが発生しなかった。

・活用とビジネス展開

水、アルコール、その他の親水性溶媒、親油性溶媒、これらの混合物、界面活性剤などが添加された組成物、分散液、懸濁液、有機材料、医薬品、ポリマーその他が溶解された溶液といった流体に対して広く適用できると思われる。このことから日常生活における醤油やソース等の容器では液だれを防止して、見た目の悪さを改善し、衛生面の効果も期待できます。 また、工業的には高価な薬品や微量試料注入等における液だれによる無駄を削減できます。
容器から液体を注ぐ機会は、広範囲に渡り、液だれでの不満・不便を感じているようなことがあれば、簡便に活用を検討できる。食器をはじめとする容器・パイプ等の口からでる液だれを防止することは、汚れ防止だけでなく注入材料の節約にもつながりコスト削減にもつながると思われます。 従来の複雑な形状加工によるコスト高や化学的処理による健康面の心配もないため製品の差別化に有効です。

・学外発表

流体力学会の2016年全国講演会@名古屋工業大学
発表資料はこちら

イノベーションジャパン2016で出展。 食器や食品飲料容器だけでなく、液体の注入機器やハンダ、溶接、バイオなどの分野でも活用できそうとのご意見をいただきました。

明星大学産学連携センターによる研究シーズ紹介ページ
容器からの液だれを防止する〜液垂れ発生原因の解析と防止法を解明する〜

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プロフィール

明星大学情報学部准教授(大学HP
東洋大学客員研究員

液だれの他に自由界面を伴う流れの数値シミュレーションを行っています。
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所属学会
日本機械学会、情報処理学会、日本音響学会、日本流体力学会、芸術科学会など

業績リストなど

(c) M.Yokoyama