〜 2. 右手・ボーイング 基本(その3) 〜 

弓の持ち方から、基本的なボーイング(運弓)技術について説明します。

〜 2−3.角度、位置、圧力、速さ 〜

均質な四角い音が基本! あとは表現に応じて調節する


弓の角度と位置、圧力、速さが、音に影響します。

基本として、まっすぐ四角い均質な音を出せるようにしましょう。
メモリ0から垂直に音が立ちあがってボリューム一定 で動かし、弓を止めるときもピタッと0に落ちる。図と言葉でいうと そんなイメージ。

〜よくある問題〜

弓先に行くに従って音量が減少する
全章で説明したアップから始める ボーイングの練習を行えば徐々に治していけるでしょう。 あとは、弾いている位置が指盤よりだったり駒よりだったり、上下に ふらふらしていることがあります。同じ位置で弾くように。
弓の折り返しで音が抜ける現象、もしくは中が膨らむ音:
大体がターンのときに手首を使ってスナップを効かすように返すやり方を していることがあげられます。音をつなげて弾こうとしたときか、 テレビでみたイメージをまねた時に起こるようで、かえって聞き手には 「ほあーん、ほあーん」と膨らんでいて良くは聞こえていない。 ターンの時に手首のスナップを使うのをやめて、 手首を動かさずにそのまま逆方向に戻すようにする。 逆回転映像を見るようにターンに入る前と後が同じ動作にするほうが、 実際には二つの音が等価できれいに聞こえます。
 矯正するには、一つ一つ音を止めてから返すという練習から 始めることでしょう。そのときに、弦に圧力を十分のったのを確認してから そのまま横に動かす、ということに留意する。圧力が弦にのらず 弓が弦に噛んでいない状態で横の運動を行うと音の立ちあがりが 不明瞭になります。また、弓の速さが途中で速くなって、さらに返すときに 遅くなっている場合もあります。 弓の角度を寝かせすぎてもこうなるときがあります。
音の先頭にアクセントがつきすぎる
「つんー、つんー」「ぱぅー、ぱぅー」のような時は、 弓の圧力をかけるまでは良いのですが、引いた瞬間に圧力が抜けている 現象でしょう。 意識として「動かし始めた直後」も弾く前と同じ圧力を維持することと、 音の終わり弓を止めるときに圧力が抜けるのを注意しましょう。 引っ掛けて引き出した瞬間の弓の速さが速く、その直後の速さが遅い ときもこの状態になります。
音がシャーシャーする。弓のスティックが削れている。
これはもう弓を寝かせ過ぎているために、弦と弓の木が擦れていることが原因。 スティックの手前側が極端に白くこすれてませんか?! 弓がかわいそう・・・(+_+)

練習2−3 開放弦全弓


今度は、音の立ちあがり、途中の均質さ、音の弾き終わりに注意し、四角い音を 目指します。メトロノームを用意し、 テンポは40くらいから60くらいで。 1,2,3、、と数え、よんっ!と言った瞬間、4拍目でピタッと止め、 次の1拍目で弓を返します。
*弓を止めるときはギュゥッと押さえつけて止めないように。
*メトロノームを必ず使うこと。
声に出して数えて練習すると、脳と手の運動神経のリンクが早く 確立するそうです。意外と思っているように手は動いてないものです。 そのズレを自覚するのに良い練習になるので声に出してメトロノームに合わせて 確実にそのタイミングで引けるようにトレーニングが必要です。

角度、位置、圧力、速さの関係

では、弓の圧力とか速さとかにはどのような関係があるか。

基本(A)
強い音(フォルテ)を出すには、とりあえず圧力をかけます。 そのとき、張りのある音色にするため、弓の位置を駒に 少し寄せ【右写真】、速さを少し落とします。
弱い音(ピアノ)を出すには、逆に、圧力は少なくします。このときに、 駒から弓の位置を少し遠ざけて、ほんの少し弓を速くしてあげると ソフトな感じのするピアノになります。

上は大まかな基本イメージです。物理的に、強く引くとその分 弦を左右に振動させ楽器を鳴らすのに必要なエネルギーが大きくなります。 弦の振幅を大きくするために駒に近づけ、摩擦を大きくするのにゆっくり 動かすと、丁度良いのです。
さらに、音の高低においても次の関係があります。

基本(B)
同じ弦上において、高音になるほど弓を駒に近づける。

開放弦を弾く位置よりオクターブ上では駒に少し近づけることで 張りのある音がでます。低音ではあまり駒に近づけすぎると 裏返った音になりやすいです。その分圧力とスピードを調整します。


つまり、弓の圧力や速さなどは、 相関関係があるので、いろいろ試してみてください。個体差があるため、 位置に付いては何ミリ何センチ駒側に動かす というように具体的には書けませんが、 音それぞれに丁度良い場所がありますので探してみてください。
この理屈はクレッシェンドやディミヌエンドも当てはまります。

四角い均質な音を出す基本的な奏法を理解した上で、あとは表現に合わせてそれを いろいろ調整していきましょう。 以下は応用になります。参考までに。
・ピアノでもはっきりとした音を出したいときは、 少し弓を立てて弾きます。
・弱いながらすーっと線の通った緊張感あるピアノを弾きたいときは、 少ない毛の量で慎重に弾く・・・弓を立てて、指で弓を吊り下げる 感じにして、毛一本で弾くかのごとく! というイメージです。
・ソフトなふわぁとさせたいときは、少し弓を寝かせて、速めにすることもします。 倍音(共振周波数の音、、、まあ平たく言えば、倍音が多い→「豊かな音」) が出やすくなります【右写真】。
・ハーモニクス、フラジオレットを弾くときは弓は基本的に 速く動かします。

練習2−3α

練習2−3をフォルテやピアノ、いろんな圧力、位置、速さなどを 変えて試してみましょう。
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